ことほぎのきみへ
食い付くゆうりにゆまちゃんは困った顔で笑いながら、自信無さそうに声を漏らした


「好きな人へのアプローチの仕方とか
良い感じのカフェとか場所とか知ってたら教えて欲しい」


「あ、美味しいごはんが食べられるカフェとかなら結構知ってる
例えば……こことか。一樹にも評判良かった」



そんなゆうりの言葉に
ゆまちゃんはスマホを取り出して

私達に若い男女に人気のカフェやスポットを教えてくれる



「後、この辺だと
近くに遊べる場所も多いから飽きないと思うよ」

「へー……初めて知った…」

「男の人は「見る」よりも実際に自分が「動く」ものに興味があったりするみたいだから
デートに行くなら
例えば遊園地とか、何かの体験とかもいいかも」

「ふむふむ」


真剣にゆまちゃんの話に耳を傾けながら
ゆうりも自分のスマホで色々調べ始める


「……実はね、また悟先輩と一緒に遊びに行く約束してて、どこがいいのか悩んでたから助かる」


「こういうアドバイスならいくらでも」


「ありがとう~っ
で、例えばこことかは……」


「あ、それはね……」



熱心にゆまちゃんに質問するゆうりと
笑顔でそれに対応するゆまちゃん


……ゆうりがいるタイミングで
ゆまちゃんが来てくれたのは逆に良かったかもしれない


さっきまでふたりとも私を心配して
表情を曇らせてたから


笑顔で、楽しそうに
盛り上がってるふたりを見てたら

なんだか安心して

嬉しくなって



私は穏やかな気持ちで

ふたりの恋愛談義に耳を傾けた
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