ことほぎのきみへ
……
……
……
『……いろは姉は、どうしてなにも言わないの』
……電話じゃなくて
実際にあの人と顔を合わせた時に、さっきみたいな状況になったことがあった
その場に偶然、居合わせた優が
私にそう言った事を思い出す
『……ばあちゃんはひどいよ
いろは姉を悪者にして
いろは姉にばっかり全部押し付けて』
『いろは姉だって、辛いのに、悲しいのに
……なんで…あんな……』
…………あの時も優は泣いていた
私のために泣いてくれてた
『…』
そんな優に私は首を横に振ることしかできなかった
……だって、そうさせてしまったのは私だから
……痛いけど、苦しいけど
あの人の言ってる事は全部事実だから
なにも間違ってないから
…………お母さんを殺したのは私だ
みんなから大切なものを奪ったのも私
みんなをたくさん傷つけて、泣かせて
苦しませたのも
全部
「……私……」
……伝えたい言葉はあった
だけど、伝えられない
……あの人が怖くて声がでない
だけど、それだけが理由じゃない
一番の理由は
……口にしたらきっと
あの人は今よりもっと傷付くから
だから
ずっとずっと、胸の奥にしまってる
「…」
…………視界が滲む
慌てて目を押さえて、ふらふらと立ち上がる
……
……
『……いろは姉は、どうしてなにも言わないの』
……電話じゃなくて
実際にあの人と顔を合わせた時に、さっきみたいな状況になったことがあった
その場に偶然、居合わせた優が
私にそう言った事を思い出す
『……ばあちゃんはひどいよ
いろは姉を悪者にして
いろは姉にばっかり全部押し付けて』
『いろは姉だって、辛いのに、悲しいのに
……なんで…あんな……』
…………あの時も優は泣いていた
私のために泣いてくれてた
『…』
そんな優に私は首を横に振ることしかできなかった
……だって、そうさせてしまったのは私だから
……痛いけど、苦しいけど
あの人の言ってる事は全部事実だから
なにも間違ってないから
…………お母さんを殺したのは私だ
みんなから大切なものを奪ったのも私
みんなをたくさん傷つけて、泣かせて
苦しませたのも
全部
「……私……」
……伝えたい言葉はあった
だけど、伝えられない
……あの人が怖くて声がでない
だけど、それだけが理由じゃない
一番の理由は
……口にしたらきっと
あの人は今よりもっと傷付くから
だから
ずっとずっと、胸の奥にしまってる
「…」
…………視界が滲む
慌てて目を押さえて、ふらふらと立ち上がる