私のかみさま
「…」


当の本人はベッドの上で静かに眠っていた

枕元には開封済みの市販薬と水の入ったペットボトルが置いてある


……具合、大丈夫そうかな


まだ顔は赤いけど
おばあさんの言った通り呼吸は安定してる
うなされてもいない


ほっと安堵の息をつく

何事もないに越したことはないから



……気がかりだったのは

この子を前にして自分が冷静でいられるかってことだった


だけど、大丈夫そう


今はちゃんと分かっているからかな


似ていても同じ人間じゃない

違う存在なんだから
意識してしまったとしても、過剰に反応する必要はないこと

極端に嫌う必要も、庇う必要もないこと


「…」


何事もないようだし、戻ろうかと踵(きびす)を返す

けど

再び目に入った本棚に意識を奪われ、足を止める



『春夏秋冬の植物』

『世界の花』

『多肉植物』

『ガーデニング入門』…



……本当に色々ある
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