私のかみさま
『……佐奈。……は昔…
……に、会って…
………を…あげたんだよ』



誰だった?



『……は、……を……』



嬉しそうに、少し面白そうに語ってくれたのは誰だった?



「……誰、だっけ……」



痛み始めた頭を片手で押さえて
それでも必死に記憶を探る




『……冗談…』


『…は、…に受けて……』


『……優しい……でね…』



断片的な言葉ばかりが浮かんで
全体が明らかにならない



私に言葉を向けてくれた相手

その言葉の全貌がはっきりしない



…………なんだろう


私、何かすごく大事な事を忘れている気がする



「……っ」



それを訴えるように

ずきんずきんと脈打つように頭の痛みは増していって



「…………頭、痛いんですか?」



小さな声が耳に届く
気遣うような少し掠れた声


そっと顔を上げて、振り返る


「…あ」


今しがた起きた様子のあの子と目が合う
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