私のかみさま
『…佐奈?どうしたんだい?
きょとんとして』

『じいじ、ひとがいるよ』

『ひと?』


私が指差した方に顔を向けたおじいちゃんは首を傾げて

どうやらおじいちゃんには見えていないようだった



『ああ、一正の孫か
道理で似ているわけだ』



きょとんとする私とおじいちゃんを置いて
ひとり納得したように頷くと

そのひとは私に近付いて

軽く頭を撫でた後、ふっと姿を消した





『そうか。きっと佐奈は神様に会ったんだね』

『じいじもあったよ』

『そうだね。でも、じいじはもう
神様を見ることが出来なくなってしまったから』

『どうして?』

『どうしてだろうね
神様がそうしたのか
自分が老いてしまったせいか』

『?……さみしい?』

『少しね
でも、見えなくなっても
神様はいつもじいじを見守ってくれているのだろうから』

『またきたのかって言ってた』

『はは。ほらね
…見てくれているだけで、じいじは嬉しいよ』



手を繋ぎながら帰った帰り道

おじいちゃんは優しく笑った
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