私のかみさま
夜の帳がおりてくる


何の知識も技術もない、素人の修繕作業

一筋縄では行かないのは分かっていたけど
想像以上に手こずってしまって

屋根の修理はあまり進まなかった


……後は、ペンキとか用意して
塗装した方がいいかな

賽銭箱もぼろぼろだし
いっそ、新しいのつくろうかな

必要なのは、木材と釘と…

後なんだろう…


家の倉庫から、工具一式は持ってきたものの
それを扱うには
やっぱり、知識と技術が足りなさ過ぎる


ため息をついて
寂しそうにただずむ社を眺める


………約束したからには
ちゃんと直したいし……


……後で少し調べてみよう



「…」



上着のポケットから取り出した時計を確認する


午後11時過ぎ、もう夜も遅い



……帰らなきゃ…



そう思うものの、体はそれを拒否するように
その場から1歩も動かない



……………帰りたくない



……今日は二人とも家にいる

今頃、私の事で言い合っているはずだ



『一体いつまで閉じ籠らせているつもりだ!』

『あの子だって悩んでるのよ』

『お前が甘やかすからこうなったんだろ!!』

『私に任せっぱなしにしたのはあなたでしょう?』



怒り狂った強い声に、苛立った表情


泣き出しそうな弱い声に、憔悴した表情


責任の押し付けあい…



…………息が詰まる
< 17 / 184 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop