私のかみさま
救われた命
――…ゆらゆらと、揺れている


あったかくて、気持ちいい



「…」



霞(かす)む視界に映ったのは、誰かの髪



……これは、なんだろう



夢?



私は今、誰かに背負われてる



……お父さん?



幼い頃、よくこうしておぶってくれた


広い背中にあたたかい体温、優しい声


大好きだった



…………違う



お父さんじゃ、ない



今はもう、あの人は私を背負わない


大きく感じた背中は、今はもう小さく



遠い



だけど、このひとの背中は大きくて近くて



あったかい




「…」




……だめだ




まぶたが重い



霞(かすみ)がかった思考回路では
難しいことは何も考えられず



そのまま、意識は遠のいていった
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