私のかみさま
……き、緊張した……


どっと疲労感に襲われて

歩きながら私は深くため息をついた



……難しいことはなにもしてないのに



届け先に赴いて

花束を渡して

サインを受け取る



たったそれだけのことなのに



すごく緊張して、冷や汗が止まらなかった

情けないことに声も、手足も震えた


……今も震えてる



……榊を除いて

しばらくまともに人と接してなかったから

こうなるのは当たり前なのかもしれない


……でも、これを当たり前のままにはしておけない


頑張って慣れていかないと……



『頑張れよ』



背中を押す声がまた耳の奥で響く



……頑張れって言葉は好きじゃない



頑張っても報われないから

何も変わらないから

もうたくさん頑張ってるのに

それを否定されたように感じるから



でも




榊の『頑張れ』は

今まで言われてきた『頑張れ』とは違くて


追い詰めるような感じでも

否定するような感じでもないから


素直に受け入れられる
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