私のかみさま
それから


店に戻った私は
再びいくつか近場の配達を頼まれて


わたわたと走り回っている内に

あっという間に日は暮れて




「今日の分はさっきので終いだね
ありがとうねぇ」


配達先のリストを確認し終えたおばあさんが
ご苦労様、と労いの言葉をかけてくれる


「…い、いいえ
こちらこそ…ありがとうございました」


慌てて頭を下げると

おばあさんは変わらず穏やかな笑顔を返してくれて


「明日もよろしく頼むね」

「……はい」


そう言ってもらえることが嬉しくて

気づけば自然におばあさんに笑い返していた





帰り道


ようやく緊張から解放されて脱力する



…………なんとか、こなせた……



交わしたのは短い会話だけ

だけど、慣れない他人との触れ合いは気力のいるものだった


……だけど


お客さんはみんな優しい人達で

向けられる気遣いやあたたかい笑顔は

こそばゆかったけど嬉しかった
< 69 / 184 >

この作品をシェア

pagetop