私のかみさま
……
……


「……えっと……」


どうしていいか分からなくて


さっきまでその子がいたドアの方に視線を向けたまま途方にくれていると


花の手入れをしていたおばあさんがやってきて、声をかけてくれた


「あれは私の孫だよ
ちょうど佐奈ちゃんと同い年だねぇ」


孫……

そういえば前に配達に行った時に
おばあさんの孫と勘違いされた時があった

あの子と勘違いしたんだ



「……私、怖い顔してました?」



それとも何か気に障ることをしちゃったのかな…

普通にあいさつしたつもりだったんだけど



もんもんとしてると、おばあさんは

「ちがうちがう」と笑って一蹴



「あの子はひどい人見知りでね
だけど佐奈ちゃんの事は気になってるみたいで
時々、店に顔を見せてるんだよ」


「気づかなかったかい?」と問われて頷く


「まぁ、影からこっそり様子を窺ってる程度だから気づかんのも無理ないねぇ」


おばあさんは笑いながらそう言うと
再び花の手入れを始める
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