溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
1.出会いは偶然に
パイプオルガンのおごそかな音色が響く大聖堂のチャペルで、お互いの薬指にマリッジリングをすべらせて、永遠の愛を誓うくちづけを交わす。
そんな幸せを夢見ていたのに……。
久しぶりにお酒を飲んだというのに、ちっとも酔えない。
ワインよりも、もっとアルコールが強いお酒じゃなくちゃダメだ……。
「私はこれで。お先に失礼します」
二次会へ繰り出そうとしている職場のメンバーに挨拶すると、歓送迎会会場だったイタリアンレストランをあとにした。
四月になって五日が経ち、会社近くの桜も満開になったものの、夜はまだまだ冷え込む。時折吹く冷たい風に首をすくめながら最寄り駅まで行き、自宅マンションがある恵比寿駅まで電車で移動する。そして自動改札機を通り抜け、徒歩五分ほどの距離にあるホテルに足を進めた。
脇目も振らずにホテルのフロント前を通り過ぎると、エレベーターで最上階へ向かう。
スカイラウンジバーに入り、案内されたカウンター席に座るとすぐにマティーニをオーダーした。
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