溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
「だって私……萌さんのような美人じゃないし、家柄だって普通だし、スタイルがいいわけじゃないし……。それから……」
「ストップ」
私が並び立てた言葉を、彼が遮る。
「俺が結婚したいのは、菜々子だけだよ」
冷静な彼の言葉を聞き、自分が萌さんに対して劣等感を抱いていたことに気づいた。
それに彼は、見た目や家柄で結婚を決めるような人じゃない……。
「……ごめんなさい」
慌てて頭を下げた。
「菜々子のそういう素直なところが大好きなんだ。それに、そのかわいい目も鼻も口も好きだし、やわらかい髪も好きだよ」
風になびいた私の髪をすくい上げた彼が、そこに短いくちづけを落とす。
「それから透き通る白い肌と、俺が触れると敏感に反応する……」
「も、もう、わかりましたから」
黙っていたら、とんでもないことを言い出しそうな彼の口を慌てて手で塞いだ。
「俺の気持ち、わかってくれた?」
私の手を取り払った彼が、穏やかな笑みを浮かべる。
「はい。充分すぎるほど……。ありがとうございます」
恥ずかしげにお礼を伝えると、彼の表情が真面目なものに変わった。
「それで、プロポーズの返事は?」
私の心はすでに決まっている。
「もちろん“はい”です」
「ありがとう。うれしいよ」
背筋を伸ばして返事をすると、彼が笑みを浮かべた。