溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
熱を帯びた舌が口内を荒々しく駆け巡る。情熱的な動きに翻弄されている内に体の奥が疼き出し、彼を求めている自分に気づいた。
でも私は本能のままに欲を満たす獣ではない。
「待って……。待ってください」
唇が離れた隙を狙って、彼の胸に手をあてる。
様々なことが立て続けに起きた今日はたくさん汗を掻いた。そんな素肌を晒したくない。
「ろ、露天風呂に入ります。専務と一緒に……」
口を挟む間を与えないまま一気に言うと、彼の瞳がやわらかい弧を描いた。
檜の露天風呂の中で、私の背中に彼の体がピタリと密着する。
湯加減は丁度いいものの、やはり恥ずかしい気持ちを拭い去ることができない。
露天風呂に入ったのにちっともリラックスできずにいると、彼が耳元に唇を寄せた。
「東京に帰ったら一緒にエンゲージリングを見に行こう。それから菜々子のご両親に挨拶する日も調整しないとならないな」
背後から伸びてきた長くて綺麗な彼の指先が、私の左薬指に触れる。
プロポーズを受けたばかりだというのに、すぐに予定を立てようとする彼の真摯な思いが心に染み入った。
「真海さん、ありがとう。大好き……」
恥ずかしさでいっぱいだった心が徐々に落ち着きを取り戻すなか、体を回転させると自ら彼の首に腕を回す。
「俺も大好きだよ。菜々子」
彼を愛し、そして彼から愛されている喜びを噛みしめながら、甘いくちづけを交わした。
END