溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
彼と一緒に、銀座の大通りから一本入ったところにあるフレンチレストランに入る。隠れ家的なそのお店は、アンティーク調の内装に暖色系の明かりが灯り、落ち着いた雰囲気が漂っている。
案内された個室に入り、四人がけの席に向き合って座ると彼がすぐに口を開いた。
「後から兄貴も来るから」
「えっ?」
「アンタに話があるのは俺じゃなくて、兄貴のほうだから」
驚く私のことなど気にもせず、彼は平然としたまま足を組んだ。
彼の名は藤岡広海(ふじおか ひろみ)。モデルのように背が高く色白で、奥二重のクールな目元が印象的だ。
「私に話ってなんでしょう?」
「さあね」
素気ない反応を示した彼が、メニュー表を手に取った。
「アンタ、なに食べたい?」
テーブルの上に広げられたメニュー表を覗き込む。でも、どの料理も驚くほど値段が高い。
「お、お任せします」
「あ、そ」
自分で料理を選ぶことをあきらめると、彼が慣れた様子でフルコースをオーダーした。
車を運転する彼に合わせて、ノンアルコールのスパークリングワインで乾杯する。ベストなタイミングで運ばれてくる料理は、頬が落ちそうなくらいどれもおいしい。