溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~

黙っていてもカッコいいのに、オレンジ色の間接照明の灯りのもとで微笑む彼はイケメン度が二割増し。

胸がドキドキと高ぶっていくのを自覚しているとテイスティングが終わり、ふたつのグラスにワインが注がれた。

ワインよりも彼の美しい微笑みに酔いそうだと思いつつ、グラスを手にした。すると、広海さんが大きなため息をつく。

「俺だけノンアルかよ……」

広海さんのグラスには、私と乾杯をしたときと同じノンアルコールのスパークリングワインが注がれている。

「悪いな。広海」

フッと笑みを漏らした彼が、広海さんに向けてワイングラスを持った手を軽く上げた。

常に余裕があり落ち着いた雰囲気を醸し出している彼が、弟であり、専務専属秘書でもある広海さんをからかっておもしろがるとは意外だ。

そう思いながら、グラスを合わせて乾杯した。

彼が選んだ赤ワインはフルーティーな香りが漂い、今まで飲んだどのワインよりもおいしい。

束の間の幸せに浸っていると、彼がグラスをゆっくり回した。

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