溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~

急に決まった同居に不安がないと言ったら嘘になる。でも細かい気配りを見せてくれる彼と一緒なら、なにも心配ないと思えてしまうから不思議だ。

「ほかに聞きたことは?」

朗らかな笑みをたたえる彼の顔を見上げる。

私の身長は百六十センチ。決して小さくない私より、はるかに背が高い彼の姿を見た私の頭に、ある疑問が浮かんだ。

「専務って身長どのくらいあるんですか?」

「百八十三センチだが……。そんなことを知りたがるなんて、雨宮さんも変わってるな」

彼が体の前で両腕を組む。

「す、すみません」

慌てて謝ると、彼がクスクスと笑い出した。

「いや。大抵の女性は、俺の年収や好みのタイプを気にするから」

今まで笑顔だった彼の眉間に薄っすらとシワが寄った。

そうだった。彼は御曹司でしかも独身。社内でも人気は高い。

急に彼の恋愛事情が気になった私は、彼女がいるのかどうか尋ねてみようと思い立つ。けれど、プライベートのことを詮索するのはよくない。

「専務。明日からよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしく頼むよ」

質問タイムはこれで終わり。

コーヒーを入れながら頭を下げると、彼が白い歯を見せて爽やかに微笑んだ。

< 43 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop