溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
急に決まった同居に不安がないと言ったら嘘になる。でも細かい気配りを見せてくれる彼と一緒なら、なにも心配ないと思えてしまうから不思議だ。
「ほかに聞きたことは?」
朗らかな笑みをたたえる彼の顔を見上げる。
私の身長は百六十センチ。決して小さくない私より、はるかに背が高い彼の姿を見た私の頭に、ある疑問が浮かんだ。
「専務って身長どのくらいあるんですか?」
「百八十三センチだが……。そんなことを知りたがるなんて、雨宮さんも変わってるな」
彼が体の前で両腕を組む。
「す、すみません」
慌てて謝ると、彼がクスクスと笑い出した。
「いや。大抵の女性は、俺の年収や好みのタイプを気にするから」
今まで笑顔だった彼の眉間に薄っすらとシワが寄った。
そうだった。彼は御曹司でしかも独身。社内でも人気は高い。
急に彼の恋愛事情が気になった私は、彼女がいるのかどうか尋ねてみようと思い立つ。けれど、プライベートのことを詮索するのはよくない。
「専務。明日からよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく頼むよ」
質問タイムはこれで終わり。
コーヒーを入れながら頭を下げると、彼が白い歯を見せて爽やかに微笑んだ。