溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
本格的なウエディングドレスからちょっとしたパーティーで着られるミニ丈のドレスまで、様々なドレスが並ぶショップのフィッティングルームから出る。
「ど、どうでしょうか?」
広海さんが選んだブルーのフレアドレスはオフショルダーのため、首回りがスウスウして心もとない。けれど華やかなドレスを着れば、やはり気分が上がる。
「まあ、いいんじゃない?」
「あ、ありがとうございます」
彼の微妙な答えを褒め言葉として捉えることにすると、お礼を言った。けれどすぐに、ある疑問が浮かぶ。
「でも、どうしてドレスを?」
このショップに連れて来られた意味が知りたい。
「パーティーに招待されたときに、着るものがないと困るだろ?」
「えっ? 秘書って、パーティーに同行するものなんですか?」
秘書業務は、まだまだわからないことだらけ。驚きながら尋ねてみると、彼が「ああ」と言ってうなずいた。
「同行もするし、兄貴の都合がつかないときは代理で出席するときもある」
「そうですか……」
パーティーには、いい思い出がない……。
結婚に焦って婚活パーティーに参加し、結婚詐欺師の彼と出会った苦々しい記憶がよみがえる。
綺麗なドレスを着て上がっていた気分が瞬時に萎えて、肩がシュンと落ちた。