溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
「ねえ、広海さんって彼女いないの?」
「あれ? 俺のこと、気になる?」
から揚げを口に運んで尋ねると、彼が不敵な笑みを浮かべた。
「気になるっていうか……」
奥二重の瞳が印象的な彼は美形だ。きっとモテるだろうし、もし彼女がいるのなら、きっと寂しい思いをしているに違いない。
そんなおせっかいな気持ちが込み上げてきてしまうことを説明しようとすると、彼がサラリと答えた。
「今はいない」
「そうなんだ」
「ああ」
彼女がいたら私のドレスを選んでくれたり、料理をリクエストするわけないか……。
そう納得すると、ご飯を口に運んだ。向かいに座る彼のお皿には、から揚げがひとつ残っているだけ。
ひと口が大きいと食べるのも早いな……。
変なところに感心していると玄関キーが解除される音が聞こえた。箸を置くと急いでイスから立ち上がり、パタパタと玄関ホールに向かう。
「専務、おかえりなさい」
「ただいま」
会食を終えた専務を出迎えると、彼の瞳がやわらかい弧を描いた。しかし玄関ホールにあるビジネスシューズに気づいた彼の表情に陰りが差す。
「広海が来ているのか?」
「はい」
私が質問に答えても、やはり表情は曇ったまま。機嫌が悪くなってしまった理由がわからずに困惑していると、彼が家に上がった。
廊下を進み、ダイニングに向かう彼の後をついて行く。
「兄貴、お疲れ」
「来ていたんだな」
「ああ。から揚げを作ってもらったんだけど、メッチャうまかった」