溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
「あの、専務と一緒に鎌倉に来ていることを、広海さんに言ってもいいんですよね?」
昨夜『アイツは誘わない』とキッパリ言い切った彼に、念のために確認した。すると、彼の凛々しい眉の間にシワが寄る。
「広海、なんだって?」
「えっと……」
画面をスクロールさせてメッセージを確認していると、彼が私の前に手を差し出す。
「ちょっと貸して」
「あ、はい」
見られては困るメッセージなどなかったため、彼の手のひらにスマホをのせた。
「今はデート中だ。俺以外の男のことなど考えてほしくないな。それに今日は俺のことを『専務』と呼ばない約束だったはずだが」
スマホを受け取った彼が、私の許可なく電源を落とす。
「……っ!」
勝手なことをする彼を、信じられない思いで見つめた。
今日の彼は少し変だ。
広海さんを変に意識したかと思えば、やたらデートを強調するし、呼び名にすごくこだわる……。
意味不明な言動の理由がわからずに頭を悩ませていると、彼がテーブルに頬杖をついた。
「俺、結構独占欲強いんだ。覚えといて」
「……はい」
上目づかいで私を見つめる彼が笑みを浮かべる。
その優美な微笑みを見ながら、次々繰り出される彼の強引な一面にドキドキしてしまう自分は、ひょっとしたらMなのかもしれないと思った。