溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~

「これ、アンタに似合うな」と言った彼がブランドショップでワンピースを買い、「アンタ、これ好きだろ?」と言った彼がチョコレートショップで詰め合わせを買う。

そんなことを繰り返しているうちに、あっという間に両手がショッピングバッグで塞がってしまった。それなのに、彼はまたショップに入って行こうとする。

「広海さん! 少し休憩しない?」

「腹も減ったし、そうするか」

爆買いする彼を慌てて引き止めると、レストランエリアに向かった。



「信州といえば蕎麦だろ」と言う彼の意見に賛成して、お蕎麦屋さんに入る。

案内された窓際の席に座ってオーダーを済ませると、ひと息つきながら外の景色を眺めた。

日差しを受けてキラキラと光を反射する池と、青々とした芝生が広がる光景はとても清々しい。

彼がいたら、もっと楽しいのに……。

今日は接待ゴルフに出かけている専務のことをふと思い出し、テーブルに頬杖をついた。すると、広海さんが思わぬことを言い出した。

「俺と居てもつまんない?」

「そんなことないよ」

「だったらいいけどさ……」

彼の声が徐々に小さくなっていく。

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