溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~
マイペースな彼が、私のことを気にかけるのは珍しい。雪でも振るのではないかと思っていると、料理が運ばれてきた。
「いただきます」
お蕎麦をすすると、風味豊かな味わいが口いっぱいに広がる。
「んっ! おいしい。専務にも食べさせてあげたいね」
無意識のうちに専務のことを話題にあげていた自分に驚き、慌てて口をつぐんだ。
さっきから、彼のことが気になるのはどうしてだろう……。
不可解な思いに首を傾げていると、広海さんと目が合った。
「アンタさ……兄貴のこと、好きなの?」
ドキリと胸が跳ね上がる。
専務のことを好きか嫌いと聞かれたら、迷わずに好きと答えられる。けれど、これが恋愛感情なのかは自分でもわからない。
「な、なんでそんなこと聞くの?」
「だって、兄貴ってカッコいいだろ?」
「うん。カッコいいね」
専務はイケメンだし、背も高くて目を引く。
「それに優しいし」
「うん。優しいね」
家事は苦手だと言いつつも、手が空いたら必ず手伝ってくれる。
「仕事できるし」
「たしかに」
社長を補佐する立場である専務の仕事は、実力が伴わなければこなせない。
広海さんの言葉にコクコクとうなずいた。