卒業写真 ～思い出の一枚～

写真

ガチャン、ガチャン。

『用紙が足りなくなりました。』

ピィーという音の後で流れる音声。

コピー機の印刷用紙の不足を知らせるアナウンス。

「もう、何回追加するんだろう？」

先日の結婚式の写真を印刷する為

夜な夜な格闘すること……………数時間。

「しかし、沢山撮ったなぁ。」

新郎新婦はもちろん。

玲奈ちゃん夫婦や幼稚園の先生達を撮っていたら

結構な枚数になっちゃった。

……………………その中に一枚。

学校で見るスーツとは違い

明るい色のネクタイをした先生。

周りの人達のように、アルコールを飲んでないせいか

それでも……………先生のままに見える。

３年前に戻った気分。

この写真だけは………行き場がない。

渡すことの出来ない一枚。

「これで二枚になっちゃった。」

誰に言う訳でもない独り言を呟いて

サイフの中にソッとしまう。

中にはもう一枚…………

今より少しだけ若い先生の笑顔が

Tシャツ姿で写ってる。

あの日、私に向けられた笑顔。

「今だけ先生は、お休みするね！」って…………。

あの一言が

今も私を、片想いという恋に捕らわれさせる。

先生………

私は諦めるチャンスを、また逃してしまいました。

二枚目の写真を眺めながら

言い訳してみる。