卒業写真    ~思い出の一枚~
「ヒドっ!!
自分から誘っといて、すっぽかし?」

すっぽかしたというより

忙しくて、来れなかったんだと思う。

「それで?
その後連絡は、あった?」

玲奈ちゃんに言われるまで気づかなかったけど………

几帳面な先生が、そのままほっておくことは珍しい。

「そう言えば……………。」

不思議に思いながら口を開くと

それまで黙って聞いていた夏苗ちゃんが

「………………………………ちょっと………待って。
町立図書館??
『町立こども図書館』じゃ無くて??」と。

『町立こども図書館』??

思いもよらない言葉に……………

あの日のメモを、頭に思い浮かべた。

『3月14日のホワイトデーの日。
町立図書館に来て下さい。
その時に、鉛筆の下に書いてあったメモの話がしたいです。』

あれっ?

町立こども図書館だった??

言われてみれば、童話を書いてる先生が

こども図書館に行っても不思議ではない。

『その時に』から後のことが気になった私が……

しっかりチェックしないで、思い込んでいたのかも。

「………………………どうしよう。
きっと、こども図書館だ………………。」

落ち込む私に、玲奈ちゃんが

「大丈夫。
後藤君に頼んで、連絡してもらってあげる。」と言ってくれたけど。

すっぽかした事実のショックから、立ち直れてない私は

………………断った。


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