卒業写真    ~思い出の一枚~
「…………………………………。
町立図書館と町立こども図書館の間違い??
そんなコントのようなすれ違いで………
四年という
無駄な時間を過ごしたのかぁ。」

真相を知った先生は、ガクリと肩を落として

「それなら、もっと早く俺のところに来て
教えてくれたら良かったのに~」と

恨めしそうな目を向けてきた。

「………………………だって。
先生が待っていた人が、私だと思わなくて……………。」

私の答えに

えっ!?と驚いた顔をして。

「俺が桜を好きだと、ホントに気づいてなかったの??
あの夏のお泊まり旅行で
俺の気持ちは、伝わったと思っていたのに。
キャンディを差し出された時………俺がなんて言ったか覚えてない?」

覚えてる。

あの日先生は、手渡したキャンディを口に入れながら

『いつもありがとう。
味が違うのは、僕の体調を気にしてくれてるから?
桜ちゃんは、優しいね。』と言ってくれた。

「あの日1日だったら
『いつもありがとう。』なんて言わないだろう?
それに、味が色々あることだって。
生徒の桜に、必用以上な接点を持つのは………
受験を控えてるからマズイと思って。
取りあえず、卒業するまでは………
お礼とメモだけの繋がりにしたんだ。
だから、卒業式の3月14日のホワイトデーに
待ち合わせて告白しようと…………。
なのに、まさかのすっぽかし!
桜も俺のことを好きだと思っていたから………
スッゴいショックだった。」
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