卒業写真    ~思い出の一枚~
「初めは…………
授業してても目立たない大人しい子だから
正直、あまり印象になかったんだよね。
意識したのは…………
図書室のテーブルにキャンディが2つ置いてあったから。
目が覚めて、ふと気づいたら差し入れがあって
その懐かしい味と
起こさずそっと置いてくれた気配りに感動したんだ。
それから少しして、偶然スーパーで桜を見かけて。
手には、いつも差し入れてくれるキャンディがあったんだ。
それも、数袋。
直ぐにピンときて、それからは寝たふりの毎日。
バレないように、瞼が動きそうになるのを必死に我慢して
耐えていたんだ。」

「ええっ!!
寝たふりだったんだ。」

驚く私に

「あぁ。
毎回バレないように、そっと置く桜が可愛くて
薄目を開けて、覗いてた。」

そう言って笑う顔は………

どこか懐かしそうで、あの頃にタイムスリップしてるって感じた。
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