卒業写真    ~思い出の一枚~
それからは

「木下さん…………すみません。
今日もお手伝い、お願い出来ないでしょうか?」と

遅くなった時には、ご指名がかかり。

気づくと私が手伝うことが、クラスの当たり前になっていた。

忙しい先生の手伝いが、少しでも出来て嬉しい気持ちと。

自分だけが、特別になったように感じる

この時間が大好きだった。




「…………………………ホントに懐かしい。」

つくづくそう感じて呟くと。

「桜は、何を懐かしく思ってた?」と

顔を覗き込んでくる先生。

「黒板を二人で書いてたこと。」

そう伝えると

「あれは、俺の作戦勝ち!
一度目は、もちろん偶然だったけど。
二度目からは、忙しくなくても少し忙しそうな素振りをして
遅れて行ってたんだ。」

「えっ!
そうなの?!」

びっくりする私に

「そりゃあ、そうだろう。
担任を持ってない俺が、そんなに忙しい訳ないでしょう?
玲奈ちゃんは、あの頃俺の恋愛に気づいたって言ってた。」

「ええっ!!
玲奈ちゃんって………先生の気持ちにも気づいてたの??
だったら………
私が先生を好きなこと、知ってたんだから。
教えてくれたら良かったのに……………。」

少し拗ねて、恨めしそうに言う私に。
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