雨上がりの夜空は


「さて、みんな帰っちゃったし俺らも行こうか」

「えっ?あ…うん」

何とも自然すぎる程自然に今日も一緒に帰ろうとする悠馬くん。
しかも“俺ら”って…私が自分で悩む前から一緒に帰るのが前提のように決まってるし。
いいんだけどね、一緒にいて嫌じゃないし、5分ちょっとの距離でも1人で黙々と歩いて帰るよりも誰か一緒にいる方がずっと気が紛れるし。


そしてまた今日も冬の寒空の下を、悠馬くんと2人…並んで歩く。

一緒に並んで歩くけど、学校ではクラスが違うことや普段からあまりにも接点がないから何を話していいのかよく分からない。

だからほとんど悠馬くんの方から話しかけてくれる。

でも、なんでこの前の塾後から一緒に帰ってくれるようになったんだろう?

お母さんのお迎えが来るハズなのに、私と帰ったあとは塾まで戻ってるの?
私と送り別れたあとは、どうしているんだろう。
この辺は悠馬くんの学区じゃないから、悠馬くんにとっては全く地理が分からない場所だし、入り組んだ道が多いから郵便配達員の人でも慣れていないと迷うほどの地区なのに。

そんな疑問は浮かぶのに、まだ聞けない自分がいる。

だって……
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