雨上がりの夜空は
晃臣も雨粒に濡れた自転車のサドルを拭いて自転車に跨ると、不意に何か思い出したかのように悠馬くんに声を掛けた。

「なぁ悠馬~!お前そういえば迎えは~?最近帰りにお前んち車見かけないけど」

「あー、俺んち塾前じゃなくて最近この辺のコンビニの駐車場に迎え来てもらってるから」

「ふーん、じゃあ寒いから俺帰るなー!」

「おー!じゃあな!」

そして晃臣は自転車をこいで走っていき、夜の闇の中へと消えた。

さっきの晃臣との会話で悠馬くんが言っていた“この辺りのコンビニ”は、私の家から徒歩1~2分ほどにあるコンビニのことだった。
私達の学区内の町内でコンビニはそこの1件しかないからだ。

…あ、そっかぁ。
この前帰りに少し見かけた時もだったけど、だから塾前に戻らなかったんだ…。
ん?でも何で私の家の近くのコンビニ?
それに、いつも別れる場所から私と同じ方向から行ってもコンビニには着くし、悠馬くんが行く方がコンビニまでは遠回りなのに…。


「………きほ────雪穂?」

晃臣と悠馬くんの会話を聞いて、ぼんやりと考えごとをしていたら悠馬くんが私の名前を呼んでいたらしく、この時やっと自分が呼ばれていたことに気がついた。

「あ、うん!ごめん、何!?」
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