雨上がりの夜空は
「そっかぁ、俺モテるのかぁ。
それはそれで嬉しいもんだな」

なんて冗談っぽく明るく笑い飛ばしていた悠馬くんの声のトーンが急に落ち着いて、雨上がりの夜空を見上げながら不意に

「……なぁ雪穂ってさ、好きなやつ、いるんだっけ?」

「えっ?あ…うん。いるよー」

さっきまで笑って話していたのに、急に落ち着いた声でド直球な質問。

「…そいつのどんなところが好き?」

「えっと…それは…あまり言うと悠馬くんにも分かっちゃうけど、優しくて面白くっていつもクラスの中心にいるような明るいところ…かな」

「うん。そっか、ありがとう」

「…?うん。どういたしまして?
じゃあ、そーゆー悠馬くんは好きな人っているの?」

「ん~?俺の好きな人は……秘密~教えな~い」

「えっ!?何それ自分だけズルい!!」

「いてもいなくても教えな~い!
さ~て、寒いからそろそろ行こうかな!
じゃあな雪穂!またな」

「もうっ!…またね」

そして、私と悠馬くんはお互いに手を振ってそれぞれの道を歩き出した。

この後も冬の間は何も変わることはなく、悠馬くんは塾の後には信号機のない公園横の交差点まで私と一緒に帰ってくれた。
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