【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
一年後か二年後か。
ああ。もう憂鬱だわ。
どうせ就職なんてしないのだし、海外留学でもして時間を稼ごうかしら。
氷堂だって反対はしないでしょう?
「綾香、写真撮ろうか?」
氷堂の提案に、仕方なく同意する。
「そうですわね」
仲睦まじい写真を撮ってご両親に見せておきたいのだろう。
それから正門の前で写真撮影をしていたら、私達の周囲に女子学生が集まってきた。
この光景。高校の卒業式でもあったわ。
これから長時間、氷堂と藤原の写真撮影会になるわね。
「モテる殿方は大変ですわね。私は謝恩会の着替えの準備もありますし、これで失礼しますわ」
クスッと笑って氷堂から離れようとしたら、彼に腕を掴まれた。
「待って。俺のところの車が来ているから送って行くよ」
どういう風の吹き回し?
私を送っていったことなど一度もないくせに。
なにかあるんじゃないかと勘繰ってしまう。
「お気持ちだけ頂いておきますわ。私も迎えの車が参りますから」
氷堂家の車に同乗するのが怖くて、笑顔を作って辞退するも、彼はニコニコ顔で言った。
「それは俺が断っておいたから」
「はっ?」
驚きで思わず変な声を出してしまう。
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