【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
彼の視線を正面から受け止めて訂正すると、パソコンの電源を落とし、バッグを手にした。
「お先に失礼します」
ペコリと頭を下げてオフィスを後にし、会社から支給されたスマホで氷堂の自宅住所を調べて、最寄り駅に行く。
会社から氷堂のマンションに帰ろうとしたが、ふと自分の家が気になった。
「火事の後どうなったのかしら?」
私の家がどうなったか見ておきたい。
氷堂がいない今日だから自由に動ける。
自宅の住所から最寄り駅を調べ、無造作にスマホを上着のポケットに入れた。
駅に向かうと切符を買って電車に乗る。
本当は電子マネーを使ってみたかったけど、それは自分のお給料が出てから考えよう。
今の私には自分のスマホを買う余裕もないのだ。
電車に乗ったまではいいが、緊張してシートに座る余裕はない。
ドア付近に立ったまま電車の電子表示で停車駅を毎回確認し、無事に自宅の最寄り駅で降りる。
ほら、私だってちゃんと電車に乗れましたわ。
送迎なんて必要ない。これからは自立した女になるの。
そのうち氷堂の家を出たら嫌でもひとりで会社に通わなくてはならなくなるのだから。
暗い夜道をひとり自分の家に向かって歩いていく。
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