【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
何を勝手なことをしてくれてるの!なんて文句は面と向かっては言えない。
「でも、氷堂さまと写真を撮りたい女の子達が列をなしてますけど」
羨望の眼差しで氷堂を見ている女の子達に目を向け、それとなく断ろうとするが、彼は私の腕を離してくれなかった。
「俺には綾香という婚約者がいるからね。藤原に任せるよ」
氷堂は藤原に目を向け、笑顔で言う。
「……氷堂、逃げるなんて狡いよ」
藤原は氷堂に恨みがましい視線を向け、不満を口にした。
「俺は綾香のお世話で手がいっぱいだからね」
私に向かって氷堂がウィンクすれば、周りの女の子達が「キャー」と悲鳴を上げる。
これはなんのショーなのかしらね?
冷ややかな視線を氷堂に向けた。
彼は優しい婚約者なんかでは決してない。
私を口実にして女の子達から逃げる気なのでしょう。
「それじゃあ、綾香行こうか。佐々木さん、藤原、また後で」
氷堂が桃華達ににこやかに手を振る姿を見て、ハーッと溜め息をついた。
これからもこんな風に氷堂に私は利用されるわけね。
「そんな溜め息ついて、式で疲れた?」
彼が気遣わしげに私を見るが、適当にあしらう。
「そうですわね」
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