【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
氷堂が私の顔を覗き込んで、今度は私の額に手を当てる。
「急に熱上がった?」
彼は私を見てニヤニヤ顔。
私が変に意識して赤面していることに絶対気づいている。
「もう知りません!」
あまりいじられたくなくて氷堂に怒ると、布団を頭まで被って顔を隠した。
大人げないと思うが、これしか彼から逃げる術がないのだから仕方がない。
「ごめん。でもそれだけ怒れるなら大丈夫だな」
ポンポンと布団の上から氷堂が私の頭を叩くが、急に静かになったと思ったら、彼がギュッと抱き締めてきて……。
「死ぬ程心配した」
その思い詰めた声に、なぜだか知らないが胸が苦しくなる。
「海の中から綾香を見つけられなかったらどうしよう……て怖かった。助けることが出来て本当によかった」
布団を被っているから氷堂がどんな顔をしているのかわからない。
でも、その声には彼の気持ちがこもっていた。
また私は……彼に助けられたのね。
あんな暗い海に飛び込むなんて、自分も危険だとは思わなかったのだろうか。
普通の人は躊躇すると思う。
心配をかけて申し訳ない気持ちになって、心から彼に謝った。
「……ごめんなさい」
< 118 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop