【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「反省してるなら、もう海に飛び込まないこと」
氷堂が私から離れ、布団をガバッとめくる。
その顔はいつもの甘い笑顔でホッとした。
彼がそんなに心配するなら、もう海には飛び込まない……って、あっ……!?
「あ、秋人さんが……私の家に火をつけたの!」
残忍な従兄のことを思い出し、ガバッと起き上がって氷堂の両肩を掴み、彼に訴えた。
「そんなことだろうとは思ってたけど、残念ながら秋人は逃走中なんだ。今指名手配されてる。彼の部下は捕まったんだけどね」
氷堂は悔しそうに顔を歪めて言葉を切り、真剣な表情で私を見た。
「また綾香を狙って君の従兄が現れるかもしれない。彼が警察に捕まるまでは絶対にひとりで出歩かないでくれ」
それは命令ではなく懇願だったように思う。
いつもの私なら反発していたが、今日は素直に従った。
「……わかりましたわ」
私が勝手な行動をしたから氷堂にも迷惑をかけた。
彼だけじゃない。
藤原や剣持さんだってあの倉庫に現れたということは、多分私のことを気にして尾行していたのだろう。
みんなを巻き込んでしまった。
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