【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
車に彼と一緒に乗るのも気が重い。
疲れた振りをして氷堂の相手はしないことにしよう。
そう決めて、正門近くに止まっていた氷堂家の車に彼と共に乗り込んだ。
国産の黒塗りの高級車で、運転席と後部座席の間には仕切りがある。
この空間に氷堂とふたりというのがなんだか落ち着かない。
車のシートにもたれかかれば、氷堂の手が伸びて来て私の肩を掴み、グイッと彼の方に引き寄せられた。
え?
今、何が起こっているのだろう?
私……氷堂に膝枕されてる〜!?
心臓はドッドッドッと大きく音を立てている。
あまりに驚いて声も出せずにいる私に、彼は優しく声をかけた。
「しばらく休んでいるといい。着いたら起こしてあげるよ」
この状況で休めるわけがない。
身体は全身がアンテナのようになっていて、彼の動きを警戒して強張っている。
一体どうしたというのか?
どこか変な場所に連れ込まれたりしないわよね?
「氷堂さ……ま?」
心配になってその名を呼べば、彼は私の髪を梳くように撫でた。
「大丈夫。ちゃんと、家に送り届けるよ。ただこれからはスキンシップを増やしていこうと思っただけ」
氷堂の発言に狼狽えずにはいられない。
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