【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「あの……氷堂さまも……他の皆さんも怪我はありませんの?藤原さまも剣持さんも埠頭にいましたよね?」
ふとみんなのことが気になった。
私のせいで怪我をしていたらと思うと気が咎める。
「大丈夫だよ。綾香も問題なければ今日の午後には退院出来る」
「皆さん無事で良かったですわ。私も大丈夫ですから、氷堂さまは家に戻って下さい。あっ、大谷さんに入院すると連絡しなくては……ええと、私のスマホは……」
あたふたしながらベッドの周辺を探そうとしたら、「綾香」と彼に優しく名前を呼ばれた。
「心配ないよ。大谷さんも社長も綾香が入院していることは知ってる。それで社長命令で綾香に付き添うことになってるから」
『社長』という言葉が出てきて首を傾げた。
会社では私は鈴木綾香で、ただの社員でしかないのに……。
「社長がどうして?」
「綾香のことを心配して昨夜病室に来たんだよ。昨日、親父に会ったんだって?」
氷堂は面白そうに言うが、私にとっては悪い報告だった。
病室にまで社長が来たということは、私の正体を知っているからだろう。
「……社長にもやっぱりバレてしまいましたのね。私……首ですか?」
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