【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
社長のボタンをつけた時から覚悟はしていたが、落ち込まずにはいられない。
せっかく仕事にも慣れて来たところだったのに、辞めるのは寂しいわ。
「なんでそうなる?」
呆れ顔で突っ込む彼に自虐的に答えた。
「今の私はなにも持ってませんもの。花山院家との縁を早く切りたいでしょう?私が社長ならすぐに会社から追い出しますわ」
「親父は『大事にしなさい』って言ってたよ。まあ、言われなくても大事にするけどね」
氷堂は私の頬に手を当て顔を近づけた。
キスされる!?
そう思った時、ギュルルルルと私のお腹が盛大に鳴った。
ククッと笑いをこらえ肩を震わせる彼。
「昨日の夜も食べてないんだろ?もう朝の八時過ぎだし、お腹空くよね」
あ~、なんでこんな時に鳴るのよ〜。
恥ずかしい~。
気にしてお腹を押さえるが、腹の虫は収まらない。
お願いだから止まって。
「今、食事用意してもらうからちょっと持ってて」
激しく狼狽える私の頭を氷堂はポンと叩くと、ナースコールで食事を頼む。
準備が出来ていたのか、五分程で食事がふたり分運ばれて来た。
点滴を外してもらい、近くにあったテーブルに移動して、氷堂と一緒に朝食を食べる。
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