【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
……一体氷堂はどういうつもりでキスしたの?
いつのも冗談半分のキスではなかった。
私も……どうして止めなかったの?
氷堂がわからないし、自分もわからない。
あ〜、なぜなの〜!
さっきの口づけについて考えていたら、私の大好きなふたりが飛び込んで来た。
「綾香さ~ん!」
「お嬢さま~!」
泣いて私に抱きつくふたりを見てオロオロする。
「桃華さんに美佳……どうしてここに?」
どう対処していいかわからず氷堂に目を向ければ、彼はにっこりと微笑んだ。
「ふたりに会うのは久し振りだろ? 俺はちょっと席を外すから」
病室を出ていく彼。
多分、氷堂が気を利かせてこのふたりを呼んだのだろう。
「ず、ずっと……ずっと心配してたんですからね」
私に文句を言って桃華さんが泣きじゃくったかと思えば、その横で美佳が私に説教をしだした。
「また海に飛び込んだそうじゃないですか! 死にますよ! だいたいお嬢さまはいつも無鉄砲過ぎます。少しは自重してください! 氷堂さまだって、どんなに心配されたか」
その目は涙で潤んでいる。
「ごめんなさい」
ふたりの頭を撫でながら謝ると、桃華さんが顔を上げた。
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