【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
優しい目で指摘してクスクス笑う赤石さんの発言に血の気が引いた。
彼女にも……私が花山院綾香だと知られた?
「あの……その……違うんですの。私は鈴木綾香で……」
顔を青くしながら打ち消すが、もはや無駄な足掻きで……。
「大丈夫よ。私はネットの記事やSNSは信じていないわ。本人を知っているから」
彼女の温かい言葉にジーンときて目頭が熱くなり、目がじわじわと潤んだ。
「赤石さん……」
せっかくの感動的なシーンに剣持さんはまじまじと私を見て水を差す。
「ああ。高慢で威張り腐ってるってやつか。俺に言わせればへんてこなお嬢さまだよなあ。天然記念物的な」
「けーんーもーちーさん!」
じっとりと彼を睨めば、藤原がなだめた。
「まあまあ、剣持さんなりに褒めてるんだよ」
「全然そうは見えませんけど」
藤原にそう返すと、腕を組んでまた剣持さんに目を向ける。
「いや、褒めて称えてる」
剣持さんがケラケラ笑って私を冷やかす。
その後もみんなにいじられたけど、内心では少し嬉しかった。
偏見の目で私を見ない人もちゃんといるんだって……。
それにしても、私が蒼士に恋してるって本当なの?
みんなにからかわれただけ?
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