【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「あれは嘘だよ。ああでも言わないと綾香が家出しそうな様子だったからね」
確かに家出して縁談を破談にしようと考えたこともあった。
全部見透かされてる。
「綾香だってわかっているだろう?俺を敵に回して綾香を口説く男なんていないってこと」
不敵の笑みを浮かべる彼を見て、ゴクッと息をのんだ。
「それは……」
なんて答えていいかわからなくて言葉に詰まる。
彼の言う通りだった。
自分でもわかっていたけど、どこかに逃げ場があると希望を持ちたかったのよ。
今まで氷堂が恋人のように私に触れてくることはなくて安心していたし。
『触れ合い』ってそのうちキス以上のこともするってこと?
あ、あ、ありえないわ~!
頭の中はパニック。
氷堂は手を伸ばして、ショックで口も聞けずにいる私の唇に触れると、目を細めて微笑んだ。
「いい加減諦めたら? 俺のことを好きになれば、政略結婚も恋愛結婚になるよ」
氷堂の発言に沸々と怒りが込み上げてきて、ついカッとなって言い返す。
「冗談じゃありませんわ。私の心もお金で買えると思わないで下さいね!」
彼の前でこんなに取り乱したのは初めてだった。
あっ、また失言。
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