【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
彼女に家事を任せたら未知の物質が出来上がるし、包丁を持って怪我でもされたら大変だ。
以前、味噌汁を作らせてみたら、サラミとかチーズを中に入れて、味噌汁とはとうてい言い難い料理になっていたし、りんごの皮を剥かせてみたら、包丁で指を切って、皮を剥いたのにりんごは血で赤く染まっていた。
まるでホラーだ。
早く止めないと。
キッチンに行くが、また綾香の会話が聞こえてきて慌てた。
「本当? 美佳が来てくれるなら、心強い……あっ!?」
綾香からすぐにスマホを奪い、俺が電話に出る。
会話の相手は大谷さんの婚約者。
うちに来られるのは困る。
彼女だって結婚式の準備もあるだろう。
俺の風邪くらいで面倒をかけたくない。
それに、綾香との時間を邪魔されたくはなかった。
「美佳さん? 蒼士だけど、綾香が変な電話してごめんね。俺は大丈夫だから。落ち着いたらうちに遊びに来て。それじゃあ、おやすみ」
《え?あの氷堂さま……》
平気なフリをして話をすると、相手が何か言いかけたが構わず電話を切った。
焦ったせいか、ゴホッゴホッとひどく咳き込む。
俺が風邪を引くと、症状が重くなって立っているのも辛い。
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