【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
もう少しこのままでいたい。もう少し。
自分と葛藤していたら、綾香の目がパッと開いた。
「あっ」と声を上げて、俺の額に手を当てる彼女。
そんな彼女をじっと見つめる。
「あ~、良かったわ。熱が下がってる」
とても嬉しそうに綾香が微笑んで……。
ブチッと自分の中で何かが切れた。
身体を反転させて彼女を組み敷く。
「蒼士……?」
大きく見開かれたその漆黒の瞳。
今、無性に綾香が欲しい。
「綾香、抱きたい」
オスの本能が目覚め、俺の理性を奪っていく。
「え?」と最初はキョトンとしていたが、次第に意味がわかったのか彼女はゴクッと息をのんだ。
「嫌なら俺を押しのけて逃げて」
理性をかき集めて綾香に伝え、彼女を掴んでいた手を少し緩めた。
逃げるなら、力一杯拒絶してくれ。
一方的に彼女を抱きたくはない。
心の奥底では綾香が俺を突き飛ばして逃げてくれることを祈っていた。
だが、綾香は俺を見つめたまま。
彼女が嫌なら、本気で逃げるだろう。
逃げないのは綾香も俺に抱かれたいと思っているから。
瞬時にそう判断する俺の頬に彼女がそっと触れてきた。
「蒼士」
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