【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
どうしよう〜。怒って『花山院を潰す』なんて言わないわよね?
青ざめながらチラッと氷堂に目をやるも、彼は気を悪くした様子も見せず、にこやかに微笑んだ。
「そんな無粋な真似はしないよ。俺の主義に反するしね」
彼の言ってることが矛盾していると思うのは私だけだろうか?
氷堂家の権力と財力を使って、私と結婚しようとしているのは誰ですか?
本当に心から私が欲しいのなら、ちゃんと愛の言葉を囁いて求愛するものではありませんの?
じっと氷堂を見据えていたら、彼がクスッと笑った。
「綾香は正直だね。考えてることが全部顔に出る」
その発言にギョッとしあたふたしているうちに、車は私の家の門の前で停車した。
「……送って頂いてありがとうございます」
形だけの礼を述べて、シートベルトを外してそそくさと車を降りようとすると、なぜか氷堂もシートベルトを外した。
「ここでいいですわ」
氷堂を止めるが、彼は首を横に振る。
「ダメだよ。家の玄関までちゃんと送り届けないとね」
これ以上言っても無駄だと思い、車を降りてひとりスタスタと歩くも、氷堂の足が長くてすぐに追いつかれてしまう。
そんな彼を見て思わず顔をしかめる。
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