【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい～俺様御曹司と甘く危険な政略結婚～

戸惑い顔の彼女に、ニコッと微笑んで説明した。
「恋愛がゲームなら、俺はとうに綾香に完敗している。俺が先に綾香に惚れたからね」
「まあ」
彼女はポッと頬を赤くする。
そんな彼女が可愛くて、愛おしい。
「これで、俺に愛人がいないって信じてくれた？」
俺の質問に綾香はコクリと頷く。
ちゃんと誤解が解けたようで安心した。
「よかった。俺があの日会社を早退したのは、綾香の大切な人に会うためだったんだ」
「私の大切な人？」
首を傾げて問い返す彼女に、優しく告げる。
「綾香のお父さんだよ」
「私の……お父さま？」
そう呟いて、固まる彼女。
瞬きもせず俺を見つめている。
「綾香のお父さんは生きているよ。ただ、重度の火傷を負っていてまだ病院のＩＣＵにいる」
ゆっくり彼女に説明すれば、ようやく俺の言葉を理解したのか、目を輝かせた。
「本当に……本当に父が生きているのですか？」
「ああ。まだ皮膚の移植手術が必要だし、今後はリハビリも必要になるけど、危篤の状態は脱したよ」
「……お父さまが生きている。もう死んでしまったと……」
綾香がまた泣き始め、手で顔を覆う彼女を優しく見守る。