【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
14、父との面会
「この病院に父がいるんですね」
シートベルトを外して車を降りると、目の前にある六階建ての建物を見据えた。
秋人さんが警察に逮捕された次の日、私は蒼士の運転する車で港区にある天聖大学病院にやって来た。
これから父に会えると思うと嬉しくてたまらない。
「ああ。でも、これだけは忘れないでほしい。綾香のお父さんは重度の火傷をおった。元気な頃のイメージは捨てた方がいい」
真剣な顔で忠告する彼の目を見てゆっくりと頷く。
「わかっていますわ」
どんな姿だろうと父は父だ。
それに、死んでいたと思っていた父が生きていてくれただけで神に……いいえ、蒼士に感謝しなくては。
彼と一緒に病院の中に入ると、身体が一気に緊張してきた。
期待と不安がごちゃまぜ。
父はどういう状態なのだろう。
蒼士から話を聞いているけど、実際に会ってみないとどんな姿なのかわからない。
ずっと父に会いたかったのに、急に怖くなった。
ちゃんと笑顔で父に会えるだろうか?
私の想像よりも酷い状態だったとしても、声をかけられる?
不安が私を襲う。
エントランスで立ち止まると、蒼士が私の手を握って指を絡めてきた。
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