【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
父の目を見て微笑めば、その目は小さく笑った。
「ああ。……蒼士くんの会社で働いていると聞いたが」
「ええ。周りの皆さんもとてもいい方達でとてもやり甲斐がありますわ」
父の質問ににこやかに答えると、横にいる蒼士が話を盛り上げようとする。
「綾香は優秀な秘書ですよ」
「……そうか。蒼士くん……綾香のことを頼むよ」
ゆっくり声を絞り出すように言う父に、蒼士は真剣な眼差しを向けた。
「はい、お任せください。僕の命に変えても守りますよ」
その目は涙で潤んでいるように見えた。
そんな蒼士を見るのは初めてだったし、彼の父への言葉に胸が熱くなる。
結婚式での誓いのように神聖なものに感じた。
秋人さんの放火で私達親子は苦境に立たされたけれど、そのことがあって蒼士の本当の姿を知ることができた。
誰よりも強く、誰よりも優しい。
私の大好きな人。
そのままじっと蒼士の顔を見つめていたら、彼が私の方を見て目が合った。
「おじさん、これからリハビリ頑張って僕と綾香の結婚式では、綾香とヴァージンロードを歩いてくださいね」
柔らかな笑みを浮かべながら彼はまた視線を父に戻す。
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