【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい～俺様御曹司と甘く危険な政略結婚～

「なんだか……ドキドキして来ましたわ」
安全ベルトをし、胸に手を当てる綾香の方を見て「俺もだよ」と返すが、彼女は信じなかった。
「嘘ですわ。蒼士は全然平気そうに見えます」
「遊園地って高校の卒業旅行以来だからね。俺も人並みにドキドキしてるよ」
そう言って綾香の手を掴んで俺の胸に当てれば、彼女はあたふたしながらも「あっ……鼓動が早い」と意外な顔をする。
「ね。俺だって緊張するわけ」
フッと微笑すれば、綾香も笑った。
「でも、いつも余裕顔なんですもの。わかりませんわ」
そう彼女が言った時、ピーという音がしてジェットコースターがガタガタと音を立てて発進した。
慌てて目の前のバーに捕まり、衝撃にそなえる。
「動き出したね」
綾香に声をかければ、彼女は目を輝かせながら周りの景色を眺めている。
「そうですわね。今のところ怖いというよりは遊園地のイルミネーションがとても素敵で見惚れてしまいますわ」
絶叫マシンは苦手そうに見えたが、真っ先に選んだだけあって楽しそうだ。
「そんなこと言ってられるのも今のうち」
クスッと笑みをこぼせば、急にコースターが加速して、普通には会話できない状況になった。