【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
16、クリスマスイブはオフィスで
「今日はクリスマスイブだけど、副社長の予定がギッシリ埋まっててお祝いどころじゃないわね」
定時前、秘書室に行って赤石さんに書類を渡しに行けば、彼女が同情するようにそんな話題をふってきた。
「仕方ないですわ。今日も明日も平日ですし。それに、イブに恋人とお祝いをしたことがないので、慣れっこなんですのよ」
にこやかに答えれば、彼女は意外そうな顔をする。
「あら、副社長はそういうのこだわりそうなのに」
「高校生の時から婚約者ですけど、本当に恋人になったのは今年の四月ですし、ふたりでイブを過ごしたことは一度もないんですの」
去年だって蒼士は大学生だったけど、社長と一緒に政財界のパーティーに顔を出していたはずだ。
でも、真っ赤なバラの花束を送って来たのよねえ。
【愛を込めて蒼士】なんてメッセージカードがついていて、当時は〝なんて気障な男なの〟と思った。
だけど、バラの花はとても綺麗で、匂いもよくて、『バラには罪がないから』とか言って、自分の部屋に飾っていた私。
今はその花束に本当に愛が込められていたんだってわかる。
忙しいのに、プレゼントをしてくれたんだもの。
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