【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「まあ……そんなところですわ。私ばっかりよくしてもらって、私は彼になんの恩返しもできていないんですもの」
チラリと蒼士に目を向けながら答えれば、藤原が慰めるようにポンと私の肩を軽く叩いた。
「氷堂は見返りとか求めてないよ。綾香ちゃんが笑っててくれるだけで嬉しいと思うな。氷堂は綾香ちゃんが一番大事だからね」
一番大事というのは誇張しすぎだと思う。
「そんなことは……!?」
否定しようとしたら、藤原が私の言葉を遮った。
「あるよ。高校の時から綾香ちゃんしか眼中になかったからね。周りの男子もそのことを知ってたから、綾香ちゃんには必要以上に近づかないようにしてたんだ」
彼から聞かされる話に目をパチクリさせる私。
「そうでしたの?」
思わず聞き返せば、藤原は面白そうに目を光らせた。
「氷堂が綾香ちゃんにぞっこんって知らなかったのは、綾香ちゃんだけだよ」
「そこのふたりはなにを密談してるのかな?」
手にオードブルとシャンパングラスを持って蒼士がこちらにやってくる。
笑みを浮かべているが、目は笑っていない。
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