【極上旦那様シリーズ】今すぐお前が欲しい~俺様御曹司と甘く危険な政略結婚~
「ごめん。どうしても綾香を逃がしたくなかったんだ」
「まだまだ私の知らないことがいっぱいありそうですわね?」
じっと彼を見据えれば、蒼士はフッと笑みを浮かべてとぼけた。
「さあてどうだろうね。昔のことは忘れたよ」
「まあ、都合のいい頭ですこと」
お互い目を合わせ微笑み合う。
別に高級ホテルのレストランで食事をしているわけじゃない。
でも、彼といるこの時間が楽しくて仕方がなかった。
「あ~あ、完全にふたりの世界だな」
剣持さんが私と蒼士を見てやさぐれ発言をすれば、その横で大谷さんが帰り支度をしていた。
「奥さんが待ってるからそろそろ帰りますよ」
そう、大谷さんは今年の春美佳と結婚して、彼女のお腹の中には今赤ちゃんがいる。
「僕もちょっと用があるので。ほら、剣持さんも帰りますよ」
藤原もバックを手に取り、剣持さんの腕を掴む。
「俺はまだ飲み足りない」
ごねる剣持さんに大谷さんがダークな顔で言った。
「剣持、査定を下げたいか?」
剣持さんは急に大人しくなり、三人共すぐにオフィスから消えた。
しばらくするとケータリングのスタッフもいなくなりオフィスにはふたりきり。
時計に目を向ければもう十時近かった。
あと二時間くらいでイブも終わるのね。
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